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界面活性剤/有機概念図によるエマルション乳化処方設計
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1.はじめに

 

「有機概念図」は比較的相互作用の複雑な有機物の性状を良く表現するものとして、特に環境化学分野、薬理化学分野などで広く利用されてきました。
(「有機概念図」の詳細については「藤田穆:有機定性分析」等をご参照ください)
このような中、当社ではこの有機概念図が界面活性剤の評価にも的確な指標を与えることを見出し、以来、有機概念図による界面活性剤の設計、評価を行っております。

そして当社では有機概念図と、社内に蓄積された種々の乳化処方設計法とを組み合わせ、「有機概念図による乳化処方設計法」を確立し、お客様のニーズに合った処方設計を効率良く行っております。

当社では有機概念図による処方設計を解説する小冊子を用意しておりますので、この概説以上の詳細につきましては、この小冊子をご覧下さい。小冊子は「資料請求」よりご請求いただけます。EMALEX処方集につきましてもこちらからご請求ください。

当社ではお客様への出張講習等も承りますので、どうぞお気軽にお申し付けください。
小冊子(抜粋/英文)は下のリンクからPDF形式でダウンロードすることも可能です。

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PDF版有機概念図小冊子(1.83MB)

 
2.有機概念図とは

  あらゆる化合物においてその性状は分子間の各種分子間力に大きく支配され、この分子間力は主に分子質量によるVanDerWaals力と分子の極性による電気的親和力から成っています。更に化合物の官能基が異なると、それは化合物の沸点、屈折率等に対して大きな影響を与えます。もしも、化合物の性質の変化に対して大きな影響を与えるVanDerWaals力と電気的親和力のそれぞれを個別に把握することが出来れば、その組み合わせから未知の化合物、あるいはそれらの混合物についてもその性状を予測することが出来ます。
 

しかしながら、VanDerWaals力や電気的親和力等を個別に直接測定することは非常に困難で、このような値を日常的に測定して化合物の性状予測などのために工業的に利用することはほとんど不可能と言えます。このため、有機概念図論では有機化合物の性状に大きな影響を与える分子間力を直接数値として表現する代わりに、分子間力と密接に関係しながらも、測定や評価が容易な「物質の沸点」を物質を表現する指標として採用します。

同一の官能基を有する同属列の化合物で見るとその沸点は、それぞれの化合物についてその官能基ごとに各々固有の曲線を描き、炭素数の違いにより規則正しい変化を示します。これは即ち、物質の分子量、官能基の変化に応じてその物質の物理化学的物性が変化しているということを示しています。このような化合物の性質の変化は屈折率等、他の特性値においても見られることで、これはすなわち、「ある化合物の沸点はその化合物の様々な物理化学的性質を予測する指標となる」ことを示しています。

 


有機概念図論では化合物の物理化学的物性について、主にVanDerWaals力による物性の程度を「有機性」、主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と呼び、化合物の物性を「有機性」と「無機性」の組み合わせでとらえます。

特に炭化水素をその骨格とする有機化合物について様々な性質の成因を考えてみると、「有機化合物の性状は、炭素鎖間の共有結合が連鎖されて構成する炭化水素の「有機性」と置換基(官能基)に存在する電気親和力(イオン)の影響による「無機性」の2因子によって成り立っていると言えます。

従って、この「有機性」と「無機性」を個々の化合物についておのおのに固有の特性値を求めれば、有機化合物の性状を予測することが出来るであろうということが想像できます。即ち、この有機概念図論の基礎となる「有機性」「無機性」を沸点や双極子能率などの、事実から求めたデータを集積させることによってある一般的傾向をつかみ、化合物、混合物についての性状を予測することが出来るのです。

多数の化合物を有機概念図上にプロットすると、下の図のように有機概念図上の領域ごとにその性質に様々な傾向が見られることが分かります。これは逆に、未知の化合物についても、その構造式等から有機性値,無機性値が求められれば、その性状の予測が得られるということを示しています。

 

化合物が有機概念図上に占める位置

図1 類似化合物が有機概念図上に占める位置

No. α 用途 No. α 用途
0°〜40° 油容性溶剤 55°〜75° O/W-SAA(HLB 8〜18)
10°〜75° 可塑剤 25°〜35° 油溶染料・分散染料
23°〜45° W/O-SAA(HLB 3〜6) 10 35°〜65° 有機顔料
25°〜55° 陽イオンSAA 11 65°〜75° アルコール溶性染料
10°〜60° 非イオンSAA 12 75°〜85° 滲透剤,湿潤剤NMF
40°〜55° 起泡助剤 13 75°〜85° 水溶性染料
55°〜75° 陰イオンSAA,洗浄剤 14 55°〜85° 水溶性高分子(保護コロイド)
 
   
  「有機性値」「無機性値」は化合物の構造等から、下のような表により構造各部の合算値として求められます。
 
表1 無機性基・有機性兼有無機性基表(抜粋)
無機性基 無機性値 有機性兼
有無機性基
有機性 無機性
軽金属 500< R4Bi-OH 80 250
重金属,アミン及びNH4 400< R4Sb-OH 60 250
-AsO3H2,>AsO2H 300 R4As-CH 40 250
-SO2-NH-CO-,-N=N-NH2 260 R4P-OH 20 250
→N+-OH,-SO3H,-NHSO2-NH 250 -O-SO3H 20 220
-CO-NHCO-NHCO- 250 >SO2 40 170
≡S-OH,-CONH-CONH-CONH-,-SO2NH- 240 >SO 40 140
二重結合 3 -Cl 40 10
三重結合 2 -F 5 5
-(OCH2CH2)-,糖環-O-(曇点以下) 75 Iso分岐 -10 0
-(OCH2CH2)-,糖環-O-(曇点以上) 20 Tert分岐 -20 0
 

3.有機概念図論とHLB値方式

 

一般に界面活性剤の性質を評価するのに用いられる方法にHLB値(Hydrophile Lipophile Balance)方式があります。これはエチレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤について、親油基に付加された親水基が無限に長く親水性が最も大きい仮想的な化合物を考えてこの化合物のHLB値を20と定め、また、親水基の全く無い親油性の化合物についてこのHLB値を0として、それらとの相対値として化合物のHLB値を求めるものです。すなわち、HLB値は親油性と親水性のバランスを表す指標と言えます。
ここで、HLB値方式と有機概念図論を比較すると、HLB値における親水性は有機概念図論による無機性の概念に、親油性は有機性の概念に良く一致することがわかります。有機概念図論で有機性の値と無機性の値の比は「無機性値(IV)/有機性値(OV)=IOB」で与えられることから、同一化合物についてIOB値とHLB値を比較すると、近似的に下記の関係が成り立ちます。特にPOE付加モル数3以上では良い一致を示します。

HLB値=IOB値 × 10

HLB値が有機概念図論のIOB値に換算されることが分かりましたので、有機概念図上でHLB値はどのように表現されるのかという事について考えてみましょう。有機概念図上である化合物が占める点と原点を結ぶ線が有機性軸となす角をαとすれば、「tanα=無機性値/有機性値」の関係がありますから、同じIOB値を持つ化合物のロケイトされた点を次々に結ぶと、原点を通る角度αの直線となります。つまり、一定のHLB値を持つ化合物が有機概念図上にロケイトされる場所も、原点を通る角度αの直線となり、これが有機概念図とHLB方式の関係となります。有機概念図論ではこの直線を「HLB線」と呼び、下にこれを示します。

有機概念図方式とHLB値方式の関係
図2 小田式HLB値と有機概念図

  4.有機概念図による乳化処方設計

 

乳化処方の設計には一般にHLB値による方法が用いられますが、当社では従来より「有機概念図による処方設計」を行ってきました。ご存知のとおり乳化処方設計には親水性化合物、親油性化合物、そして界面活性剤の性質がデリケートに影響し合いますが、HLB値による方法は化合物の物性をHLB値の大小によってのみ表現することになりますから、様々な化合物の物性を的確に表現し、さらにはそれらの混合物の物性までを的確に把握することは比較的困難です。
有機概念図では化合物を平面上に表現することにより、数種以上の混合物についてもそれぞれの化合物の占める点の位置関係(絶対位置、相対距離、相対位置など)から、生成する混合物の性状の予測をより的確に得ることが出来ます。

乳化処方において有機概念図を使用した場合、各化合物について有機概念図上の位置をプロットしてみると、それらの様々な性質が理解できるようになります。また処方の配合量と製品性状との関係までもが整然と理解されるようになり、乳化のあらゆる型と、それらのエマルジョンの性状即ち、乳化の型、親油〜親水性感覚、油や水への分散性、乳化・可溶化状、起泡、消泡性、ちょう度、温度に対する安定性、生成エマルションの実際の油相、水相成分などを効率的に予測することができるようになります。

このことは、目的のエマルションの要求する条件に対して、予め当社独自の「質と量の傾向表」から処方構成成分を選ぶことによって、効率的に安定な処方を得られることを示しています。

また一例として、ある処方が有機概念図上で下のようにプロットされた場合には、当社独自の各種付表、ダイアグラム等から、「このタイプの特徴」にあるような性状を予測することが出来ます。

 
有機概念図上での乳化処方設計/化粧品配合研究

図3.有機概念図上での処方例


<有機概念図上での特徴>
(イ) 原点からの距離が最も長い乳化剤がA線付近にある。
(ロ) 油相成分中でα値最小の水相側界面活性剤の原点からの距離(x)が水相成分中でα値最大の水相側界面活性剤の距離(y)より長い。

<このタイプの特徴>
(イ) A型のこのタイプは親水性が強く水に良く分散し、起泡性がる。洗顔料,シャンプー等では若干のエモリエント性を与える。(洗顔料,パールシャンプー,化粧水)
(ロ) B型のこのタイプは基礎化粧料として一番汎用されており、温度安定性が高くなる。また、塗布した後白くならないという性質を持つ。(乳液,クリーム等の基礎化粧料)

 
  5.おわりに

  以上、有機概念図と、これを用いた処方設計について簡単に解説いたしました。当ページ内容も順次拡充予定でございますが、もしも当社独自技術である「有機概念図による乳化処方設計」に興味をお持ちになりましたら、冒頭にも書きましたとおり、どうぞ当社までお問い合わせください。
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*当サイトトップページの3Dグラフィックは有機概念図を環境化学方面に応用する「生活環境化学の部屋」主宰の本間善夫様にご提供いただきました。

 

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